蜘蛛の糸☆この糸は、天国とつながっている。

   人の一生とは、まことに味気なく幕を閉じるものだ。

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蜘蛛の糸
2011年 カエルカフェ 
監督:秋原正俊
原作:芥川龍之介「蜘蛛の糸」「アグニの神」「煙草と悪魔」
音楽:山路敦司
出演:平幹二朗(カンダタ)
    鳥肌実(軍人)
    高畑こと美(垣内総子/鬼)
    初嶺麿代(魔女)
    高畑淳子(垣内千枝)
特別出演:スティーヴ エトウ(十一面観音菩薩)
       江口のりこ(救世観音菩薩)
       松田洋治(悪魔)
とある斎場、若い女性の葬儀で老年の男が香典を盗む。
見つかって追われた男は道に飛び出し、
車にはねられ絶命する。死後、カンダタという名を
与えられた男がやってきたのは地獄。
現世とはあまり変わりない風景だが、
同じ部屋で同じ作業を繰りかえす毎日。
死者にはそれぞれ別の空間が与えられるらしいが、交わりはない。だが、
たまにその空間が混線することがあるらしい・・・。

地元・北信ロケのことや主演の平さんのインタビューなどが
地元紙・信毎に載っていて、気になっていた作品でした。
観る前に、ちょっと映画について調べてみたら
上映は長野県下で3館のほか他県で1館でしかないらしく、
感想なども殆どない状態・・・なので、多少の不安があったけれど(笑)
平幹二朗さんの名と、現代風に解釈した物語を観てみたいとの思いで
観ようと決心・・・大袈裟ですね(笑)

秋原正俊監督作は初めて観るのですが、
自主制作映画っぽさがあるというか、手作り感があって
商業映画に比べてしまうと違和感があり、
正直、戸惑いながら観ていたのですが、
物語の構成が予想より面白くて、なるほど~と思います。

以下、ネタばれありますので、注意してね。
原作のカンダタは極悪人ですが、現代の庶民に当てはめると
極悪人って、そういるものじゃないし、共感できるところが少ないのですが、
平さんのカンダタなら、普通の人・・・どちらかというと、好い人じゃないかと
思うわれる人なので、なんだかわかる気がします。
蜘蛛を助けるシーンが面白かったな。
地獄の捉え方も前世の行いによって各自違うっていうのも
妙に納得できて、肉体的な苦痛はもちろん嫌だけれど
精神的な苦痛も嫌だな~って、思わされますし、
そうなると、現世だって立派な地獄なんだなって思ってしまう。
でも、苦しくても善い心を持っていることは救いになるって、
観た後に感じました。

「蜘蛛の糸」だけではなく、他に「アグニの神」、「煙草と悪魔」が
カンダタのいる地獄の別の空間での出来事として挿入されていて
「煙草と悪魔」の話が展開を大きく変えるように出来ているところは
上手いなと思いました。
東洋の地獄に悪魔や魔女が出てくるのは妙ですけどね(笑)
この地獄の悪魔くんはちゃんと約束は守る善い存在なのが面白かったな。
地獄の悪魔だから性格が逆になっているのかしら(笑)
あのあと、またあれを育てて、楽しんでいるのだろうか?
もしかしたら悪魔の存在って・・・と、妙に深読みしたくなる
面白い存在です(笑)   
それに衣装なども面白いよね。
観音さまたちは白塗りでちょっと神々しさに欠けるのだけど、
逆にそんな、手作り感が良いのかな?

最近観ているTVドラマに平さんが出ているのですが
イメージ的には怖いおじさんで近寄りがたい雰囲気なのですが
別人のようで、柔らかい表情だけなのに存在感はめちゃくちゃあって
まるで、平さんが映画を蜘蛛の糸で釣り上げているような・・・
表現悪いかな?(笑)
それだけ、凄い俳優さんなんです!
そして大好きな女優さんの一人、高畑淳子さん。
娘さんとの共演が話題になってるようですが、
ほんの少しの出演で、ちょっと残念だったな。
それでも怖いお母さんで、
娘・総子にとっては現世の方が地獄だったよね、
と、かわいそうになってしまうくらいの
存在感はさすがです。

この脚本、舞台化しても面白そう・・・。


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